A-cars Historic Car Archives #061

'95 Chevrolet Corvette Indy 500 Pace Car Reprica

95年型シボレー・コルベット・インディ500・ペースカー・レプリカ


Text & Photo : よしおか和

(The Fantastic C4/2010 Aug. Issue)

 May 29, 2025 Upload

 

 95年型コルベットは第79回インディ500マイルレースのオフィシャルペースカーに選ばれた。コルベットとして通算3度目、C4に限っても86年型に続いて2度目となる栄光である。5月28日のブリックヤードでは1960年の優勝者であるジム・ラスマンがこのペースカーをドライブしたが、これを記念してシボレーは同時にインディ・ペースカー・レプリカを発売した。ボディスタイルは本物のペースカーと同様にコンバーチブルに限定され、ペイントも本物と同じくボデイの上半分がダーク・パープル・メタリック、そして下半分がホワイトに塗り分けられフロントから両サイドにかけてレッドとホワイトを基調とした派手なグラフィックが描き入れられた。ホイールはZR-1と共通の5スポークが奢られ、インテリアはブラックとダークパープルのコンビネーション・レザーシートとそのヘッドレスト部分にインディ・マシンを描いた刺繍が施されるのが大きな特徴だった。なお、実際のレースではペースカーは常にソフトトップを開けているため分からないのだが、このペースカーレプリカを見ればそれがホワイトだった事実を知ることが出来る。

 

 

 コルベットが初めてインディ・ペースカーに選抜された78年型では6502台のリミテッド・エディション・ペースカー・レプリカがラインオフを果たした。2度目の選出となった86年型では復活を遂げたすべてのコンバーチブルモデルがペースカー・レプリカとして発売され、その数は7315台と記録されている。それらに比べると3度目の栄誉を祝う記念モデルのプロダクションは極めて少なく、トータルで527台に止まった。もっとも、この年のコルベットのプロダクショントータルが20,742台、コンバーチブルに限れば4971台と一時期に比べてかなり減少しているので妥当とも考えられるが、当時このモデルはルックスがあまりに派手過ぎて一般的にはウケないという評判が先行したことも大きく影響したと推測される。それでも日本にも新車が何台か並行輸入され、今回運良く撮影出来たのもそのうちの1台である。スーパーレア故に本国においてもコレクターズカーとしてのバリューが高まることが予想されるこの95年型ペースカー・レプリカ。この先もずっと美しいままに、ヘルシーに走り続けてくれることを祈りたい。

 


歴代のインディ・ペースカーと比較しても派手なことで知られるスペシャル・ペイント&グラフィック。ダークパープル・メタリックとホワイトの2トーンにレッド&ホワイトのグラフィックを描いてその個性をアピールした。コルベットのペースカーはこの先更にエスカレートし、C5として初選出された98年型のペースカーではこれを数段上回るド派手なカスタムペイントが採用されている。95年型ペースカー・レプリカの製造台数は527台。すべてがコンバーチブルだ。


搭載エンジンはボア4.00×ストローク3.48インチ、圧縮比10.5:1で最高出力300hpを発生する350cuinV8 LT1。このユニットはLT4を含めて、シボレー・スモールブロックV8のジェネレーション2として括られるが、C4の後期モデルの5年間、その後のFカーをカウントしても僅か6年間で姿を消した、実に短命なエンジンファミリーだった。


ホイールはZR-1に採用されていたものと同じデザインとなる5本スポークタイプで日本のエンケイがOEM生産したアイテムだ。


リアウィンドウにはビニールではなくガラスが採用されているが、これは94年型以降のコルベット・コンバーチブルすべてに当てはまる変更である。


インテリアにはダークパープルとブラックのコンビネーションを取り入れたレザーシートが採用され、シートバックには独自の刺繍が与えられた。クーペにはかろうじてラゲッジスペースとなる空間があるが、コンバーチブルではトップを収納するスペースとなるため、カメラバッグを置くスペースさえ見当たらない。まあスポーツカーに多くを求めてはいけないのだが……。