#059 62年型フォード・ギャラクシー500XL・コンバーチブル

A-cars Historic Car Archives #059
’62 Ford Galaxie 500XL Convertible

Text & Photo : よしおか和
(Convertible’60s Blue Oval Conbertible/2009 Nov. Issue)
 May 16, 2025 Upload

 ここで紹介するのはフルサイズ・パッセンジャーのオープン・エア・モデル。アーリー60sのフォードはどれを取っても無骨なデザインという印象が強いが、今となっては逆にそれが大きな魅力に思えるのだ。
 クローズアップしたのは62年型のギャラクシー500XL。この年のフォード・フルサイズはギャラクシー、ギャラクシー500、ギャラクシー500XLとシリーズ分けされており、取材車は最上級に位置したモデルということになる。その具体的な内容の違いだが、500と500XLのエクステリアはほぼ同じであり、主な違いはインテリアの仕様である。写真からも確認できるが、500XLの大きな特徴としてはバケットタイプのフロントシートとセンターコンソール、そしてフロアにレイアウトされたATのシフトレバーなどが挙げられる。

 搭載エンジンにもシリーズによる違いがあり、ギャラクシー及びギャラクシー500では6シリンダー・エンジンを標準搭載してV8はオプションだったのが、500XLにはV8が標準で搭載された。なお、この62年型において最もベーシックなV8エンジンは292cuinだったのだが、取材車が搭載するのはオプションの390ユニット。よく見るとバブルカバーにTHUNDERBIRDと綴られているのが分かるが、これはなにもTバードからスワップした訳でもなく、モーターそのものにあの伝説のスペシャリティカーと同じ名前が与えられていた、ということである。
 つまりこの撮影車は、当時としてはこの上なくHOTなフルサイズ・コンバーチブルだったことになる。だが、現代の感覚ではどう贔屓目に見てもスポーティなイメージはないし、スタイリッシュという訳でもないし、どちらかといえばデカくて野暮ったいオープンカーという感想を持たれがちだ。ところが……酸いも甘いも分かってきたベテランになると、このテイストが堪らなくササるのである。最近ではこれと同じ時代のMOPARの魅力が多くのファンににんちされてきているが、このギャラクシー500XLコンバーチブルの魅力だって、そろそろ理解されてもいい頃だ。


オリジナルの状態を美しいままにキープしているインテリア。メタリックな化粧パネルを配したインパネが印象的だ。なおバケットタイプのシートとフロアにセットされたATシフターは500XLモデルならではの特徴となる。

搭載エンジンはサンダーバード390と名付けられたFEビッグブロックV8。この62年型のカタログ数値は圧縮比10.5:1最高出力340hpというものだった。


丸く大きなテールレンズはアーリー60sフォードのチャームポイントであり、同時代のファルコンとも
共通性が感じられる。


ホイールカバーはオリジナル。新車時の標準タイヤサイズは7.50×14だったが、取材車はP215/75-14のホワイトリボンを履いている。