【10月号巻頭特集切り抜き】03年型サンダーバード・プレミアム/フォードの心意気

Text : 本間 薫 Kaoru Homma Photo : 山田泰弘 Yasuhiro Yamada
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 5年ぶりに02年モデルで復活を果たしたサンダーバードは、唐突に初代のスタイルに立ち戻った。すなわち2シーターのオープントップ・クーペ、いや、英国風にドロップヘッド・クーペと呼ぶべきか。というのも、初代では主任デザイナーのフランク・ハーシーの好みからジャガー・XK120をベースに開発が進められていたが、00年代にはジャガーはフォードの傘下にあり、ミレニアム・サンダーバードは両社で共同開発されたミッドサイズRWDプラットフォームを用いて仕立てられている。
 このプラットフォームを吊るサスペンションには、フロント/リア共にショート&ロング・アームの4輪独立懸架方式を採用。そしてスポーツカーと比較すれば低レートのスプリングと容量の大きなショックアブソーバーを組み合わせ、軽快なハンドリングと良好なライド・コンフォートを両立したパーソナル・ラグジュアリークーペらしい挙動を見せる。それでもサンダーバードが充分にスポーティであると言いきれるのは、パワフルなエンジンのおかげでもある。ジャガーの4リッターV8ユニットをベースにフォードが独自にショートストローク化を図ったエンジンは、3.9リットルの排気量にDOHC32バルブヘッドを載せ252hpの最高出力と267lbftの最大トルクを発生。03年モデルからはこれに可変バルブタイミング機構と電子制御スロットルを追加して、最高出力280hp/最大トルク286lbftを発揮するに至っている。


 このスタイルもドライバビリティにも優れるサンダーバードは当然ながら人気を博し、02年モデルはおよそ3万1000台以上が生産された。残念ながら高価格と当時の世のハイパフォーマンス志向のため、その後の販売台数は振るわなかったものの年毎にニーマン・マーカス、ジェームズ・ボンド007、パシフィックコースト・ロードスター、50thアニバーサリー・カシミアスペシャルといったスペシャルエディションを生み続け、それぞれに高い人気を誇っている。それらをいま選んで手に入れることは難しいだろうが、スタンダードモデルでもなんら魅力が劣ることはなく、そのことは20年が経過した現在でも価格を維持していることが物語っている。


小気味良く吹け上がるV8ユニット
軽快に回りながらもトルクフルな3.9ℓV8ユニットは02年モデルで最高出力252hp@6100rpm/最大トルク267lbft@4300rpm、03年モデル以降は最高出力280hp@6000rpm/最大トルク286lbft@4000rpmを生み出す。


初代から受け継ぐ伝統
ラウンド・ヘッドライトにフードスクープ、フロントフェンダーのシミュレーテッド・エアベントは初代がモチーフとなる。バンパーのノーズコーンはフォグランプに代えられている。


下がるテールがお上品
ヘッドライトと対をなすようデザインされたテールライトが特徴的。リアフェンダーに入るサンダーバードのスクリプトも初代に寄せている。排気音も静かで気を使わない。


ハードトップの造形美
トリムにはデラックスとプレミアムがあり、プレミアムでは初代に倣ったポート・ウィンドウを備えたハードトップを装備する。サンダーバード・エンブレムが入る脱着用レンチも付属。


プレミアムは7本スポーク・クローム
ホイールは17インチでタイヤサイズは235/50R17。デラックスは21スポークのアルミニウム・アロイでプレミアムにはクローム・ラッドが装着される。


気品に溢れるブラックのインテリア
現車のインテリアはブラックインクだが、オプションのブラックアクセントが選ばれ、シフトノブとステアリングホイール上部がグロ
スブラックとなる。メーター針はサンダーバードを象徴するターコイズブルー。

紛うことなきバケットシート
デラックスでもプレミアムでもエンブレム入りパーフォレイテッド・レザートリムド・バケットシートは同じだが、プレミアムではシートヒーターが装備される。


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